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北(都会)と南(島)、ふたつの生き方【オーストラリア大陸9000キロの旅シリーズ】6 [旅・キャンプ]

この記事は、オーストラリア大陸9000キロの旅シリーズ5【ペルーに飛ぶ?】の続きです。


言い忘れていたのですが、バンの名前はハナミと言います。女性です。通常ハナミちゃんと呼んでいます。姪っ子の2人の名前を足して、日本風にしたとも言えますが、奇遇にもナンバープレートが873ということもあります(姪っ子ちゃんから「もーっ」てツッこまれそう)


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《バンなどの住める車両は、私たちの巣をつくるので、女性性で呼ばれることが多いです》


さて、シドニーでは、親友宅前の路上にハナミちゃんを停め、日中は彼女たちが最近引っ越したモダンな鉄筋の家の中で過ごしました。というか、私は何でも揃った快適なキッチンに立ち、健康な食事、スムージーとデザートを提供する健康食レストランの(いつの間にか、やっぱり)シェフと化していました。


最近ママになった親友は、太平洋に囲まれたポリネシア出身。中国から移住したおばあちゃんが開いた海辺のベーカリーで、毎日焼ける世界一美味しいパンを食べ、ターコイズブルーの海で育ちました。パパはお隣ミクロネシアに位置するフィジー生まれ。両島ともに美味しい空気、緑濃い森、そして生きた水があふれる太平洋の臍。美しい言語と文化を今も継承している地域。2人とも小さい頃から大家族に囲まれ育ち、学生時代にニュージーランドへ移住。結婚した2人は、より快適な暮らしを目指して金融業界で働き、オーストラリアの首都に移り住みました。

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(サモア政府観光局より)

サモアとフィジーで今世界中の人が欲している「有機農業」や「コミュニティの暮らし」があるのを、2人とも当然知っています。美味しい野生の野菜や、カカオ、ココナッツと、彼らが食べて育った馴染みの自然の豊かさが十分にある。しかし、結婚後も、彼女たちの夢を叶えるために島へは戻らず、シドニーで核家族となりました。

パパは、数年前に手術で悪性ガンを摘出後に、抗がん剤治療を受けガンを克服。その後は再発を防ぐために中国に通い、漢方と食餌治療で健康を維持しています。ガンを克服した後に祝福を受けた男の子は、生後数ヶ月で内臓の大手術を受け、今も病院へ駆け込むことがあり、0歳で各種のサプリメントを服用しています。ママも長年食事治療を続けながら、同じくナチュロパスを頼って健康を維持しています。海が好きな小さな僕のために、自然に近いところに住みたいけれど、サモアやフィジーにはオーストラリアのように緊急医療体制が整っていないので、シドニーを離れるわけにはいかない。そして、今の生活を支えるためには、2人とも働かなくてはならない。故郷の生活には戻れない...。これは、現代核家族ならよくある風景といえるかもしれません。よくある風景...


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今回、東京の数十分の一のスケールにすぎないシドニーに入った途端、私の身体はあらゆるシグナルや電磁波を敏感に感じとりました。巨大なショッピングセンターでは、以前以上にめまいと耳鳴りが激しくなり、スチュアートにどの場所で電磁波が強いかをいちいち説明しながら早足で出口へと向かいました。

大自然の中、土の上で暮らすとき、私たちが意識を持って訓練さえすれば、誰でも自然界とコミュニケーションができるようになります。雲の動きや風の音、雨の匂いや温度の変化を通して、雨の到着時間や、苗植えや収穫のタイミングが少しずつ感覚でわかるようになります。それは、自然環境と穏やかな心が同調し、自然界が運んでくるメッセージを心が感じ易くなるからです。五感以上の感覚も鋭くなります。

少なくとも今の私の経験からですが、同じことを都会でするのは難しいでしょう、些細な心の声を感じ取るには障害が多すぎるからです。あらゆる機器から出る電磁波だけではなく、自然からかけ離れた環境と、大勢の人たちの間にいることも関係していると思います。このことを親友ママに説明すると、わかるけど、わからない。あまり腑に落ちない様子で、なんだか憂いているようにも感じられました。よりよい暮らし、年収とキャリアを求めて働く者にとって、毎日働けることは最低基準なので、ショッピングモールでめまいがするようになったなんて、と思ったのかもしれません。

経済(行政)の世界では一般的に「経済的発展途上国」と呼ばれる国に生まれ、より便利で豊かな物質環境を求めて生きてきた彼女と旦那さん。目的地だったシドニーに着いた今、過去の島での暮らし方のネガティブな記憶に癒着した恐怖、不信感が強く、その環境に戻ることが怖いと感じています。

一方、「経済的先進国」と呼ばれる国で、戦後の急成長後に産まれ物質的な豊かさを知っている私。東京にいた頃は、馴染んだ意識の外側の世界、つまり、常に物質や文化や情報に溢れていなく、お金を払うことなく「幸せ」が得られる暮らしを想像することができず、親友と同様に、馴染みのない環境(世界)に対して怖さと不信感を持っていました。心の奥底では、日々の生活(仕事や恋愛や人間関係)を通して「卒業したいのにまた再演してしまう困ったドラマ」を密かに繰り返したいと願い、そして無意識にドラマを生きていました。私も、親友も、同じです。

怖さを落とすことを決意し、瞑想を続けることで、狭い視野と固定観念を飛び越えることが可能です。さらに在りたい自分の姿に近づけます。どんな生き方であっても、その生き方からしか成長できないものです。



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今の地球人には、性別の違い、肌の色の違いや、言語の違いがあり、それを超えてひとつの人類、ひとつの地球であることを経験していますが、そして今、また大きな違いがクリアに見えるように感じます。ふたつの異なる暮らし方です。



物質を得るため、消費するために、労働してお金をつくることが中心の暮らし




森と水と空気を大切にしながら、野菜を育て、共有することが中心の暮らし





前者は、産業革命後に急発展してきた現代世界の姿、そこで生きる人たちの生き方。経済学では「北」などと呼ばれます。都市部で生きる人たちは、主にこの生き方をしています。そして、グローバル発展の元で、暮らしを支えることができなくなった農林水産業従事者や、メディアを通して漠然とした憧れを持つ若者たちは、「北」へと移動します。

後者は、数千(万)年前から地球上に存在した暮らし方で、今も世界の一部で(例えばブータンや南米のジャングルの奥深く)か細いながらも続く、厳しい自然を尊び、自然共生する生き方。「南」などと呼ばれています。現在、インド、ロシアやキューバなどの国々で農業の在り方が見直され、これまで以上に多くの人々が、都会での暮らしから「南」へと戻ってきています。


ほんの小さなことです、例えば。野菜を育てることはとても簡単で、それがもたらすものはとおんでもなく大きなものです。手足が土に触れるとき、私たちはすでに土のバクテリアにより癒されています。野菜やハーブそのものは薬です。太陽光と月光と雨を浴び、身体全体で土を盛り上げて地上へ芽を出し、力強く根を伸ばし、私たち人間のために喜んで育つ植物たちは、人間に与えられた最も効果的な薬草です。やがて果実を実らせ、花が種となり、私たちに滞ることなく豊かさを運んでくれる。種。私たちの内側にもある種は発芽し、根をのばし、天へと成長するようプログラムされています。水も同じ、空気も同じ。私たちの住む地球には、人間が健康に生きていくために必要なものがすでに揃っているのです。


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《無堆肥、無肥料で、こんなにもたわわに実るみかんの木》


私たちは、頭では知っています。もともと健やかなる地球の自然の在り方の、バランスを維持させることも崩すことができるのも、人間だということ。そして、個々のエゴが暴走してマスに拡大して、そのバランスが完全に失われる時代も経験して知っています。個人レベルでは、物質的な生活環境を変えることが、馴染みある習慣や物事に対する考え方のシフトに繋がることも、わかっているでしょう。だからこそ、なかなか動けない。そうなんです、きっと私たちみんな、うすうすとわかっているのですね、行くべき方向を。人生の長さは本人にもわかりませんが、今の段階で、長期的に健康を維持するにはどちらの環境が貢献するかは、明らかのように見えます。


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親友と私は、学生時代から会うといつも、より善い生き方とは、人生の意味やスピリチュアリティについて話しあい、最近は瞑想方法を伝授したこともありました。

私は決めたらぜったいにやる方で、逆にそれで身体を壊すことがあるほど。私にとって、それがこの人生の今に於いて観察すべき(意識すべき)課題。その内側(外側もしくは向こう側)に、私の姿が見えます。

一方で彼女は、瞑想をしてライフスタイルも変えたいと長年言いつつも、なかなか実践できずにいる。これは、彼女の人生で観察すべき課題。その内側(外側もしくは向こう側)に、彼女の姿が在ります。

どこにいても、意識すれば見えてくる人生。どこに住もうが、何をしていようが、善い、悪いなど何もない。ただ、観て、感じ、行動する。それだけ。シドニーでの彼女との再会は、やはりいつも通り、深い意味をもたらしました。でも、もうシドニーには行きません。次は、彼女が、私たちの住む緑の暮らしを訪ねる番です。

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《ただ、土に触れるだけ。それは大きな癒しです》


次は、オーストラリア大陸9000キロの旅シリーズ7です。


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